子宮内膜症
・・・我慢強い人ほど、悪くなってしまう厄介な病気・・・
《大木医師》
「最近、若い女性に子宮内膜症が多いですね。
以前は30~40代に多く見られたのに、今では10代の女性でも珍しくありません。
「生理痛が強い」「生理の量が多い」「生理のとき鎮痛剤を使う」など、30%以上の女性が
生理がつらいと答えており、子宮内膜症が関係していることが多いですね。
なぜ、子宮内膜症がこんなに増えたのでしょう?」
《倉智院長》
「そもそも、子宮内膜症の原因は、子宮の内側にだけあるべき子宮内膜細胞が、
骨盤内のいろいろなところに散らばってしまうことだと言われています。
最初に散らばる原因は、月経血の逆流とか、生まれつきとかいろいろな説があります。
生理は、赤ちゃん(受精卵)のために用意したベッド(子宮内膜)が、いらなくなったので、
体外に出すしくみです。 普通の生理は膣を通じてちゃんと外に出るルートがあるから
大丈夫ですが、子宮内膜症の人は、子宮の筋肉の中や卵巣、腹膜など、出口がない場所に
生理が起きるから大変です。
毎月の生理のたび、骨盤内の至る所で出血したら、痛いに決まっています。 その上、
内膜細胞がさらにバラまかれることになるので、生理のたびに内膜症が酷くなりますよね。
放っておいたら、生理がある間、この悪循環が続くわけだから、たまったものではありません。
子宮内膜症はエストロゲンの作用で増悪し、プロゲステロンの作用で改善します。
生理不順のかたでは、プロゲステロンというホルモンレベルが低いことがよく見られます。
これは
生理、排卵の入門編のところでお話しましたね。
このため、生理不順のかたは子宮内膜症が悪くなりやすいと言われています。」
「子宮内膜症の増加は、ライフスタイルの変化が原因だとよく言われますが
具体的にはどういったことなのでしょうか?」
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「昔の女性に比べて現代女性は、
◎ 初潮の時期が早くなって、若くから生理がある。
◎ 結婚、妊娠の時期が遅くなった。
◎ 妊娠回数が減り、妊娠~授乳期間が短い。
→これらは全て、排卵と生理の回数を増やしますね。
現代女性の生理の回数が、昔に比べて約9倍にも増加していることは前にもお話しました。
生理の回数が多いほど内膜症は悪くなります。
◎ 生理が始まる時期が早くても、卵巣は未成熟なので無排卵の頻度が多い。
◎ 卵巣を酷使しているから、卵巣が疲れやすく、排卵の調子も悪くなる。
→このことはプロゲステロンレベルが低いことに繋がりますね。
→すると、内膜症も悪くなります。 (
生理痛、生理不順をご参照下さいね)」

「そう考えると、子宮内膜症の薬物治療につながりますね。
子宮内膜症を良くするためには生理を軽くすれば良い訳ですね。
それなら、ホルモンバランスを妊娠状態にもっていくか、更年期状態に持っていくかすれば
良いわけですね。」 (妊娠中は生理も無く、プロゲステロン濃度は高い。)
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「そうですね。
① 低容量ピル(飲み薬): 体に妊娠しているように思わせる治療
ピルは、排卵を抑え生理の量がすごく減るので、まず内膜細胞のバラまきが抑えます。
その上、ピルに含まれているプロゲステロンが、ゆっくりですが子宮内膜症を改善させる効果が
あります。 なにより、やさしい治療なので長期間継続して治療できますよ。
② GnRHa製剤(注射が主): 体に更年期と思わせる治療
更年期状態にするわけですから、当然、排卵も生理も止まりますね。
ただ、若い人にすると急に更年期なるわけですから、すごくしんどい治療になります。
ピルに比べると、副作用もきついので短期間(半年単位)でしかできませんね。」
「基本的に、若い人には低用量ピル。
もうすぐ閉経で、あと数年粘れば本当の更年期に逃げ込めるという人には、
GnRHa製剤でしょうか。 もちろん人それぞれなので、その人にあった治療が
ベストだとは思いますが・・・。」
「そうでしょうね。 子宮内膜症は、女性と生理が切り離せない限り、
なかなか完治させることができない厄介な病気です。
子宮内膜症と賢く付き合っていくには、症状をうまく抑えて、ゆっくり良くしていく
心構えが必要ですね。
一番良くないのは、鎮痛剤を使って、必死に我慢し続けることではないでしょうか。
痛いというのは子宮からのSOSサインなのですから、我慢するのは良くないこと
だと思います。
虫歯を我慢したからといって虫歯は良くなりませんよね。 それと同じことです。」

「もうひとつ、気をつけないといけない点がありますね。
卵巣で子宮内膜症が悪くなると、チョコレートのう胞といって、古い生理の血が
貯って卵巣腫瘍になります。 このチョコレートのう胞から卵巣がんが起きることが
分かっています。 チョコレートのう胞からおきる卵巣がんは、類内膜腺癌や明細胞腺癌
といった、治療がとても難しくとても非常にたちの悪い癌です。
◎ 子宮内膜症は、我慢しても良くなる病気ではないこと
◎ 子宮内膜症は良性の病気ですが、悪性腫瘍(がん)の原因になること
これらのことをふまえ、「生理痛」「過多月経」を我慢するのではなく、賢く治療していきましょう。

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